打順の重要性 —打順を変えるだけで野球界は変わるのか—

野球

 皆さんこんにちは。ドラゴンズ優勝を夢見るdragonです。

 前回の記事でデータの活用が試合結果に大きく関わるとお話ししました。さらに今回はぐっと踏み込んで、タイトルの通り、打順について話していきます。打順がどのように試合に、もっと言えば得点に影響するのか考えていきます。

直感的な考え

客観的なデータではなく今までの知識や記憶といった主観的な見方から考えてみます。

まず、昔からいわれている打順の話だと、1番は俊足巧打、2番は小技、3番は中距離打者、4番はチーム一の強打者、5番はチャンスに強い巧打者、、、と各打順の役割や適する人が決まっています。しかし、これは本当に正しいのかとMLBの影響もあり近年疑念を抱かれるようになりました。2番にチーム一の打者を置くべきではないかなど議論が行われました。


 一方で議論が行われないほど共通に認識されていることもあります。例えば「ピッチャーは最終バッター(9番)であるべきだ」、「打撃成績の悪い人を上位打線(1、3~5番)に置くべきではない」など一見正しそうな意見です。実際、過去の長い野球史を振り返ってみても、多くの試合でピッチャーが9番に入っているので、限りなく正解に近いのでしょう。しかし、これらの意見は印象やバイアスがかかっており、真に客観的な意見であるとは言えないと私は思います。

 そんな状況から抜けだすために、

「データを作り、データに答えを出させる。」

こういったことがもっとも有効的なのではないでしょうか。

 そこで、直感的な考えから抜け出す第一歩として、過去のデータを用いて簡単な条件のもとシミュレーションを行いたいと思います。

得点シミュレーション

シミュレーション条件

 シミュレーションは自作したプログラムコードを用いて1試合平均の得点数を計算しました。詳細のシミュレーション条件は以下の通りです。

  • ルールは通常の野球のルール(9人、9イニング制)と同じ
  • 送りバント、犠牲フライ、エラーなどなし
  • ランナーの進塁は野球盤に同じ(例:シングルヒットで一つ進塁する)
  • 打者の打撃成績を各打席結果の確率とし、毎打席確率に従うようにした
  • 打者の打撃成績は2025年中日ドラゴンズの特定の野手9人の打撃成績をもとにした
  • 1番から打席を回し、9イニングが終わったときの得点を記録
  • それをn回(n試合)繰り返し平均得点を求める
  • 9人の打順の総数である9!通り分シミュレーションを行い平均得点を比較

 今回シミュレーションした9!通りの中から、

A)2025年シーズンでよく見た打順、B)Aの打順を反対にした打順、C)最高得点を記録した打順、D)最低得点を記録した打順

について見ていきます。実際の打順は以下の通りです。

A(現在の打順)B(Aを反転)C(最高得点)D(最低得点)
1番
2番
3番
4番
5番
6番
7番
8番
9番
岡林
田中
上林
細川
ボスラー
福永
山本
石伊
大野
大野
石伊
山本
福永
ボスラー
細川
上林
田中
岡林
上林
細川
福永
岡林
山本
田中
ボスラー
大野
石伊
山本
田中
大野
福永
石伊
上林
岡林
ボスラー
細川

シミュレーションで用いた各打者の打撃成績は以下のようになります。2,025年シーズンのアウト率、単打率、二塁打率、三塁打率、本塁打率、四死球率を与えました。

シミュレーション結果

シミュレーション結果を示します。今回の各打順で試行した試合数は400試合ずつになります。最終的には総得点数を400で割ることで1試合当たりの得点数を計算しました。

A(現在の打順)B(Aを反転)C(最高得点)D(最低得点)
3.97点3.86点4.40点3.15点

9!(=362,880)通りについてシミュレーションを行い最高点が4.40点、最低点が3.15点であることがわかりました。

これはつまり、各チーム年間143試合が行われるペナントレースにおいて、仮に同じ打順で全試合を戦った場合に

  C:629点、D:450点 (143試合換算)     

約170得点の開きが生じることになります。もちろんこれは最大と最小を比較しているのでこの差は大きくなります。

しかし、どうでしょう。ドラゴンズが2025年シーズンを戦ったAのような打順における143試合換算の得点数は

568点(Cより61点低い(143試合換算)

2,025年シーズンのセリーグ3位(巨人)と4位(中日)の得点数の差がちょうど60点です。一つ順位が入れ替わるほどの差であることがわかります。

まとめ

 今回はさくっと、スタメン起用選手を固定して異なる打順における得点数についてシミュレーションを行いました。

 実際の全てのプレーを再現したシミュレーション結果とはいかないですが、アウト率、打率、二塁打率、本塁打率、など基本的な要素を取り入れたシミュレーションを行いました。

 その結果、興味深いことに打順の改善を試みれば、ペナントレースの順位を一つあげることができる可能性があることが示されました。(もちろん、野球は得点するだけで試合結果が決まるわけではありませんありませんが。)

 いかがでしたか、今回の記事を読んで打順の重要性を理解することができたでしょうか。野球経験者であれば、今までの経験から打順が得点効率に影響を与えると感じてきたと思いますが、やはり感覚ではなく数字で評価していくことでこり固まった風習を変えることができると思っています。

それではまた次の記事でお会いしましょう。

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